衛生管理者と産業医の選任は、関係法令の定番論点です。数字が多いうえに 「を超える」と「以上」が混ざっているため、ひっかけ選択肢が作りやすいところです。 この記事では、労働安全衛生規則7条・13条の条文をもとに、境目の数字をまとめて整理します。
まず共通点:50人以上・14日以内
| 項目 | 衛生管理者 | 産業医 |
|---|---|---|
| 選任が必要な規模 | 常時50人以上 | 常時50人以上 |
| 選任の期限 | 選任すべき事由が発生した日から14日以内 | 同じく14日以内 |
| 報告 | 遅滞なく所轄労働基準監督署長へ | 同じく遅滞なく |
| 定期巡視 | 少なくとも毎週1回 | 少なくとも毎月1回(条件を満たせば2月に1回) |
衛生委員会も常時50人以上で設置が必要です(施行令9条)。 なお、常時10人以上50人未満の事業場では、業種に応じて安全衛生推進者または衛生推進者を選任します。
衛生管理者の選任人数
| 常時使用する労働者数 | 衛生管理者の数 |
|---|---|
| 50人以上200人以下 | 1人以上 |
| 200人を超え500人以下 | 2人以上 |
| 500人を超え1,000人以下 | 3人以上 |
| 1,000人を超え2,000人以下 | 4人以上 |
| 2,000人を超え3,000人以下 | 5人以上 |
| 3,000人を超える | 6人以上 |
覚え方のコツ
境目は「200・500・1000・2000・3000」。人数は1人ずつ増えて、最大は6人です。 「に・ご・せん・にせん・さんぜん、1から6」と唱えて覚えましょう。 境目ちょうどの人数(例:200人)は少ない側に入ります(200人なら1人)。
専属と専任の違い
- 専属:その事業場に所属していること。衛生管理者は原則として専属の者を選任します。 ただし、2人以上選任する場合で、その中に労働衛生コンサルタントがいるときは、そのうち1人は専属でなくてもかまいません
- 専任:衛生管理の仕事だけを行うこと。次のどちらかの事業場では、少なくとも1人を専任にします
- 常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
- 常時500人を超える労働者を使用し、坑内労働または労働基準法施行規則18条の有害業務に常時30人以上従事させる事業場
衛生工学衛生管理者が必要な事業場
常時500人を超える労働者を使用し、坑内労働または次の業務に常時30人以上を従事させる事業場では、 衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者から選任します。
- 多量の高熱物体を取り扱う業務・著しく暑熱な場所の業務
- 有害放射線にさらされる業務
- 土石・獣毛等のじんあい・粉末を著しく飛散する場所の業務
- 異常気圧下の業務
- 鉛・水銀・一酸化炭素などの有害物の粉じん・蒸気・ガスを発散する場所の業務
寒冷・振動・重量物・騒音の業務はこのリストに入りません(専任の要件には入ります)。 「換気や遮へいなど、工学的な設備で対策する有害業務だけが衛生工学」と覚えると区別できます。
産業医の選任
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 選任が必要 | 常時50人以上 |
| 専属が必要 | 常時1,000人以上、または特定の有害業務(深夜業を含む業務なども含む)に常時500人以上を従事させる事業場 |
| 2人以上が必要 | 常時3,000人を超える事業場 |
産業医の専属要件は「1,000人以上」「500人以上」、衛生管理者の専任要件は「1,000人を超える」「500人を超える」です。 ちょうど1,000人の事業場では、産業医は専属が必要ですが、衛生管理者の専任は(有害業務の要件を満たさない限り)不要です。 ここは典型的なひっかけなので、必ず区別しておきましょう。
また、法人の代表者や事業場の実施を統括管理する者(事業場の運営について利害関係を有しない者を除く)は、産業医に選任できません。
まとめ
- 共通の土台は「50人以上・14日以内・遅滞なく報告」
- 衛生管理者の人数は「200・500・1000・2000・3000で1〜6人」
- 衛生管理者の専任・衛生工学は「超える」、産業医の専属は「以上」
- 衛生工学衛生管理者は、寒冷・振動・重量物・騒音を除いた有害業務が対象
数字の境目は、実際に「〇人の事業場で正しいものはどれか」という形で問われます。演習で境目ちょうどの人数を何度も判断して、反射的に答えられるようにしておきましょう。