第一種衛生管理者試験は、3科目・5つの範囲から計44問が出題される五肢択一の筆記試験です。 合格ラインは「合計60%」だけではなく「範囲ごとに40%」の足切りもあるため、 得意分野だけで逃げ切る戦略は通用しません。この記事では、公益財団法人 安全衛生技術試験協会の 公表内容をもとに、試験の骨組みと合格基準の読み方を整理します。
第一種衛生管理者とは
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者を選任しなければなりません (労働安全衛生法施行令4条)。第二種の免許で衛生管理者になれるのは、有害業務と関係の少ない一定の業種に限られます。 第一種はすべての業種で衛生管理者になれるのが違いで、製造業・建設業・医療業などでは 第一種(または衛生工学衛生管理者免許など)が必要です。
試験科目・問題数・配点
| 科目 | 範囲 | 問題数 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 関係法令 | 有害業務に係るもの | 10問 | 80点 |
| 関係法令 | 有害業務に係るもの以外のもの | 7問 | 70点 |
| 労働衛生 | 有害業務に係るもの | 10問 | 80点 |
| 労働衛生 | 有害業務に係るもの以外のもの | 7問 | 70点 |
| 労働生理 | — | 10問 | 100点 |
| 合計 | 44問 | 400点 |
試験時間は3時間(13:30〜16:30)です。配点が範囲によって違う点に注意してください。 有害業務の範囲は1問8点、有害業務以外と労働生理は1問10点です。
合格基準は「範囲ごと40%以上」かつ「合計60%以上」
協会の合格基準は「科目ごと(範囲が分かれている科目は範囲ごと)の得点が40%以上で、 かつ、その合計が60%以上」です。問題数に直すと次のようになります。
| 範囲 | 満点 | 40%の点 | 最低必要な正答数 |
|---|---|---|---|
| 関係法令(有害業務) | 80点 | 32点 | 4問(32点) |
| 関係法令(有害業務以外) | 70点 | 28点 | 3問(30点) |
| 労働衛生(有害業務) | 80点 | 32点 | 4問(32点) |
| 労働衛生(有害業務以外) | 70点 | 28点 | 3問(30点) |
| 労働生理 | 100点 | 40点 | 4問(40点) |
合計は400点の60%で240点以上が必要です。 各範囲をぎりぎりの正答数で通過しただけでは合計164点にしかならないので、 足切りを避けたうえで、全体で6割を積み上げる必要があります。
覚え方のコツ
- 足切りの正答数は「4・3・4・3・4」(法令有害→法令一般→衛生有害→衛生一般→生理)
- 合計は「400点満点で240点」。1問8点の範囲を落とすより、1問10点の範囲を落とす方が痛い
科目免除と特例第一種
| 区分 | 対象 | 出題 | 試験時間 |
|---|---|---|---|
| 科目免除 | 船員法による衛生管理者適任証書の交付を受け、その後1年以上労働衛生の実務経験がある人 | 労働生理が免除 | 2時間15分 |
| 特例第一種 | 第二種衛生管理者免許を持っている人 | 関係法令(有害業務)10問・労働衛生(有害業務)10問のみ | 2時間 |
第二種を持っている人が第一種を受け直す場合は「特例第一種」になり、 有害業務の2範囲だけを受験します。第二種の合格者は、有害業務の分野に集中して対策できます。
受験資格(代表的なもの)
受験には労働衛生の実務経験が必要です。代表的な組み合わせは次のとおりです (ほかにも区分があるため、必ず協会の案内で確認してください)。
- 大学・短期大学・高等専門学校を卒業し、その後1年以上の労働衛生の実務経験
- 高等学校を卒業し、その後3年以上の労働衛生の実務経験
- 10年以上の労働衛生の実務経験
効率よく合格するための学習の順番
- 関係法令(有害業務)と労働衛生(有害業務)を先に固める。第一種ならではの範囲で、第二種にはない論点が集中しています
- 労働生理は1問10点。仕組みを理解すれば得点が安定し、合計点の貯金を作りやすい範囲です
- 仕上げに本番と同じ44問・範囲別の足切り付き模試で、苦手な範囲が40%を割っていないかを確かめます
合計点が6割を超えていても、ひとつの範囲が4割を切れば不合格です。 模試の結果は、合計点よりも「いちばん低い範囲」を先に見る習慣をつけましょう。