必要換気量の計算は、公式を1本覚えれば解ける得点源です。 ただし、%とppmの換算や、どの数字を分母に入れるかで間違えやすいので、 公式の意味を理解してから例題で手順を固めましょう。
必要換気量の公式
室内の二酸化炭素(CO2)濃度を基準値以下に保つために、1時間あたりに入れ替える空気の量が必要換気量です。
必要換気量(m³/h)= 室内にいる人が1時間に呼出するCO2の量(m³/h) ÷(室内CO2基準濃度 − 外気CO2濃度)
濃度を%で与えられたときは、分母の差を100で割った小数にして計算します(×100 をしても同じです)。
- 分子:1人あたりのCO2呼出量 × 人数
- 分母:室内で許容するCO2濃度と、外気のCO2濃度の差
外気にもCO2が含まれているので、入れた空気1m³が薄められるCO2の量は「基準濃度 − 外気濃度」の分だけ、という意味です。 室内の基準濃度としては、衛生上の目安として**0.1%(1,000ppm)**がよく使われます。 外気の濃度や呼出量は問題文で与えられるので、与えられた数字をそのまま使うのが鉄則です。
覚え方のコツ
「出したCO2 ÷ 薄められる幅」と日本語で覚えます。 分母に外気濃度を足してしまう、基準濃度だけで割ってしまう、が典型的なミスです。
例題で手順を確認
「在室者10人、1人あたりのCO2呼出量0.018m³/h、室内CO2基準濃度0.1%、外気CO2濃度0.04%のとき、必要換気量は?」
- 分子(CO2の総呼出量):0.018 × 10 = 0.18 m³/h
- 分母(濃度の差):0.1% − 0.04% = 0.06% → 小数にすると 0.0006
- 必要換気量:0.18 ÷ 0.0006 = 300 m³/h
%のまま「0.18 ÷ 0.06 × 100」と計算しても同じ300になります。 ppmで与えられた場合は、1% = 10,000ppm なので、1,000ppm − 400ppm = 600ppm = 0.0006 として計算します。
換気回数の求め方
必要換気量が求まったら、部屋の容積(気積)で割ると、1時間に空気を何回入れ替えるかが分かります。
必要換気回数(回/h)= 必要換気量(m³/h)÷ 気積(m³)
例題の部屋の気積が150m³なら、300 ÷ 150 = 2回/h です。
逆算の問題もよく出ます。「必要換気量と濃度差が分かっていて、在室できる人数を求める」場合は、 公式を「人数 = 必要換気量 × 濃度差 ÷ 1人あたりの呼出量」と変形して解きます。
あわせて覚えたい基準値
| 項目 | 基準 | 根拠 |
|---|---|---|
| 気積 | 労働者1人あたり10m³以上(設備の容積と床から4mを超える空間を除く) | 事務所則2条・安衛則600条 |
| 窓などの開放部分 | 常時、床面積の20分の1以上(十分な換気設備があれば不要) | 事務所則3条・安衛則601条 |
| 室内のCO2(事務所) | 5,000ppm以下 | 事務所則3条 |
| 室内のCO(事務所) | 50ppm以下 | 事務所則3条 |
| 空気調和設備等で供給する空気のCO2 | 1,000ppm以下 | 事務所則5条 |
| 空気調和設備等で供給する空気のCO | 10ppm以下(外気が汚染されている場合は20ppm以下) | 事務所則5条 |
事務所の室内の基準(5,000ppm)と、空気調和設備で供給する空気の基準(1,000ppm)を混同しないようにしましょう。
有機溶剤の全体換気装置の換気量
有機溶剤業務で全体換気装置を使う場合は、消費量から換気量を求めます(有機則17条)。 Wは作業時間1時間に消費する有機溶剤等の量(g)、Qは1分間あたりの換気量(m³)です。
| 区分 | 1分間あたりの換気量 |
|---|---|
| 第1種有機溶剤等 | Q = 0.3W |
| 第2種有機溶剤等 | Q = 0.04W |
| 第3種有機溶剤等 | Q = 0.01W |
こちらは1分間あたりで、必要換気量の公式(1時間あたり)と単位が違います。
まとめ
- 必要換気量 = CO2呼出量の合計 ÷(基準濃度 − 外気濃度)
- %は100で割って小数に、ppmは1% = 10,000ppmで換算する
- 換気回数 = 必要換気量 ÷ 気積
- 事務所の室内CO2は5,000ppm以下、空調で供給する空気は1,000ppm以下
計算問題は手順が決まっているので、同じ型を何問か解けば確実な得点源になります。